放置感想32台目 『86』23話の「えごころを、互いに」

■画面構成に制御されてるはずのアニメキャラが画面の世界と観客の現実の境界線を深く踏み込んでいく様に目頭が熱くなった『86』22話。最終回23話は後日談として絵に描いたような穏やかなものだったが、これまでの登場人物たちの「絵心」が集いこれからも紡が…

放置感想31台目 『86-エイティシックス-』から振り返る『未来のミライ』

■石井俊匡TVシリーズ初監督作品『86』はA-1 Pictures制作アニメの2010年代総括をA-1の制作進行からキャリアを歩んだ石井監督が成そうとしている(『86』本編残り2話は2022年3月放送)。ワンオフの1クールアニメを(劇場アニメと並行しながら)作り続けたA-1…

話数単位で選ぶ2021年TVアニメ10選

■『EUREKA』と『フラ・フラダンス』で自分の中の00年代TVアニメに一区切りがついてしまって、がらんどうな感じではあるが、今年観たアニメ10選を捻りだしていく(順不同)。 ①『Vivy -Fluorite Eye's Song-』9話「Harmony of One's Heart -私の使命、あなた…

人の造りし理想郷(シャンバラ)で絢爛たる白昼夢を描き踊り続ける/『フラ・フラダンス』鑑賞メモ

■水島精二総監督『フラ・フラダンス』。「ご当地アニメ」や「復興支援」といったアニメが現実と関わる方向性だけでなく、日々の積み重ねが復興を描く現実と共に、アニメーションの回復と過去・現在・未来を想い描く願いが込められた作品だ。アニメーションの…

放置感想30台目『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』

■『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』(以下『エウレカ』)見終わった。完結編ブームの2021年で「変な映画」としてキャラが立ちすぎてざわざわしている。シリーズや予告編等でかき集めた見立てがあれよあれよと爆発四散するスピードにつ…

放置感想 29台目 2021秋アニメ雑感

■ネトフリ先行配信『範馬刃牙』。最凶死刑囚編から数えて第5クールを迎えた、平野俊貴監督『バキ』シリーズは荒唐無稽 瞬瞬必生なマッチメイクの驚嘆の持続と共に、主人公:範馬刃牙の最強で最凶の死刑囚(範馬勇次郎に挑むサガに囚われた意味で)としての覚…

放置感想28台目 アニメ『ゴルゴ13』(2008年版)の西澤晋回

□アニメ『ゴルゴ13』(2008年版)がネトフリにあったので、西澤晋 絵コンテ・演出・作画回を一通り観ていった。アニメ制作という火事場(西澤監督の『め組の大吾 火事場のバカヤロー』は必見‼︎)で土台となる絵コンテを切り続ける西澤氏。「アダルト」が死語…

放置感想27台目 秋雑感等

□『コードギアス 反逆のルルーシュ』15周年再放送の新OP/EDが案の定、本編切り貼りMADだったので死んだ魚の目をしていた。先日最終回を迎えた『NIGHT HEAD 2041』(谷口悟朗監督『リヴィジョンズ』の制作を継承した作品。各話絵コンテ須永司!)の兄弟の願い…

放置感想 26台目『カウボーイビバップ』

■実写版『カウボーイビバップ』ネトフリ配信直前ということで、洒落たとは言い難い滑稽な実写PVがアニメのファンを不安にざわつかせている… アニメ放送から23年ということで、アニメの『ビバップ』の魅力を自分なりに整理して実写の不安から目を逸らしたい(…

放置感想25台目 2021秋アニメ移行前雑感

□今年の夏アニメ、『Artiswitch』短期集中を除けば『死神坊っちゃんと黒メイド』と『ラブライブ!スーパースター‼︎』をのらりくらりと視聴中で、少ない本数でも夏アニメ終わっていないのです。 ■『死神坊っちゃん』は山川吉樹監督による『ハイスコアガール』…

放置感想24台目『Artiswitch』

■サンライズ制作のyoutube配信アニメ『Artiswitch』4話から見始めたけど、CGアニメでプロップ(装飾)の存在感を刻みながら縦横無尽のアニメーション・マテリアルに誘われる魅せ方にやられてしまった。そして4話は出崎統監督『おにいさまへ…』視聴者にはフッ…

放置感想23台目 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』

□村瀬修功監督『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は作品の成り立ちの仕組みの深さ(一年戦争グリプス戦役の総括『逆襲のシャア』の富野由悠季書き下ろし小説による後日談…とガンダム者がとりとめのない解説地獄に陥るアレ)を、若者たちの黄昏(ヴァケイ…

放置感想22台目 まだハサ泣き出来てない/One More EMOTION

■休日開店自粛や有給取れてないので村瀬修功監督『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』本編はまだ観れてないのだが、評判のアベレージや各評の深度、主題歌『閃光』アニメPVの常軌を逸した圧縮で刺さる全編ハイエンドから、小形尚弘PによるOne More EMOTION…

放置感想 21台目 『B:The Beginning Succession』

■『B:The Beginning Succession』は前作に残された(裏設定の)謎が再始動する体裁で作られた本作だが、何も始まらない(ので終わりようがない)ぼんやりとしたクリフハンガーが6話垂れ流されるだけという、プロダクションI.G×ネットフリックスの納品事故案…

放置感想20台目 鑑賞メモ2『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』

■第3村辺境のアスカ、ケンスケとの男女関係云々が冷めてしまうほど14歳のままの体が曝け出されており、使徒が一部になった生理で不眠不食のまま14年を過ごしていた、そうなる前から人工的に作られた子供と知れば、無防備になれない下着姿に悲しくてやりきれ…

放置感想19台目 鑑賞メモ:1『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』

■『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』各感想は読んで先出し映像は触れずの状態での鑑賞。新劇場版シリーズが改めて「ポストエヴァ」の作品のひとつだと告白したうえで、これまでの「ポストエヴァ」作品群の芯(シン)通す叙事詩であり噺(『昭和元禄落語心中…

放置感想18台目 3月14日の『アイカツプラネット!』と『トロピカル〜ジュ!プリキュア』

□エヴァの色彩に当てられっぱなしの中の『アイカツプラネット!』第10話と『トロピカル〜ジュ!プリキュア』第3話の感想。 ■『アイカツプラネット!』第10話は、主人公:音羽舞桜が代理で演じてきたアバターアイドル「ハナ」を通じて、ポスト「ハナ(エヴァの…

放置感想17台目 MEGA64『Neon Genesis Evangelion in 5 Minutes』

□シンエヴァ公開前にYouTubeで観たMEGA64『5分でわかる新世紀エヴァンゲリオン』及び『5分でわかるEOE』は衝撃的なわかりやすさだった。海外のオタク「Nerd(ナード)」の生活圏(実写)で繰り広げられる『新世紀エヴァンゲリオン』のナードインパクトを刮目…

放置感想16台目 シンへ連なる雑感と『UN-GO』10周年とか

□2009年の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』はTVアニメーションの現場と劇場アニメーションの現場の垣根を越えた技術的成熟が集約したアニメであり、『破』以降の「エヴァっぽさ」は「ヱヴァ破っぽさ」を求められたように思える。翌年の『機動戦士ガンダムUC…

放置感想14台目 シンがまだ遠い雑感とか

□シンエヴァ観る前に観た人の感想を漁って、それぞれの言葉に滲み出るまごころに圧倒される… なかの前回のエヴァ迂回の道程からの続き。 ■エヴァ視聴(リニューアル版)が2006年の大学2年生の頃で、一時的に一人暮らしをさせて貰ってた環境というのが、雑念…

放置感想 13台目 シンに近い雑感とか

■シンエヴァ公開、実際唐突にアナウンスされると途方に暮れるものである(2週目の平日に逃げ込むつもりだ… □エヴァの思い入れ、自分としてはポストエヴァの作品群を経由したうえでの新劇場版からの定点的摂取なので、それほどエヴァ自体を熱を持って観てたわ…

放置感想12台目 『ウマ娘 プリティーダービー Season2』第7話のあれこれ

■今年の感想で何かと愚痴っている『ウマ娘 Season2』だが、第7話はライスシャワーの「自分の勝利を望まれないレース」へのジレンマが「おさがり」の諦念に敷かれた本編を多少なりとも揺さぶりたいものとして描かれる分、「おさがり」で敷き詰められた学園描…

放置感想11台目 『装甲娘戦機』の渇望と『ウマ娘 Season2』への失望

□元永慶太郎監督の最新作『装甲娘戦機』は、1990年代のジュブナイルSFアニメのテイストでおとぼけとハードなサバイバルをしつつ、キャラバンを伴う装甲娘の描写は元永監督の『ヨルムンガンド』の後継作といっていい仕上がりだ。ラブライブ感あるヒロイン達が…

放置感想 10台目 2021年の年始アニメ雑感

□『アイカツプラネット!』は『牙狼』シリーズ『THE NEXT GENERATION パトレイバー』等を制作した東北新社による実写パートのおぼこく確かに刺さる感じが、『アイカツ!』TVシリーズ1期のテレコム・アニメーション制作協力時代を彷彿とさせる。アニメとシーム…

放置感想9台目 アニメ10選から零れた雑感2020

■2020年のTVアニメは、世代交代を意識できる作品が多かった(10選も何かと親子ものが多かった)。南川達馬監督『波よ聞いてくれ』や徳田大貴監督『戦翼のシグルドリーヴァ』の初監督作品、古賀一臣監督『彼女、お借りします』や清水久敏監督『体操ザムライ』…

話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選

■まずは話数単位10作品開示。無限の住人と日本沈没2020はTVアニメとしてはレギュ違反なのだが、TVアニメをネトフリ等のサブスクや配信サービスで観ているのが殆どなので、WEBアニメもTVシリーズ形式ならTVアニメ10選の範囲内でいいのではと思う。 ①『id:INVA…

放置感想8台目 『フラ・フラダンス』公開前雑感

■2021年初夏公開予定の長編アニメ映画『フラ・フラダンス』の事前情報からあれこれ考えたものを書き留めておく。 □『フラ・フラダンス』は水島精二「総監督」綿田慎也監督の座組で、福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズを舞台にした、フラガールのお仕…

放置感想7台目 『D4DJ First Mix』先行配信1話

□アニメバブルの弊害が集約してしまった制作と同時期のXEBEC解体の流れが深傷だった『BEATLESS』から2年、水島精二監督最新作の『D4DJ』は、制作:サンジゲンでやる『アイカツ!』改めDJ活動の見せ方が少し不思議(SF)で野外フェスや女学園の箱の規模の活況…

放置感想 6台目 秋アニメ雑感2020

■『おそ松さん』第3期1話、クソ・レクイエムとやけくそな反逆の見せ方が清々しく、第2期より良い始まりかもしれない。やけくそなR2ってやけくそな令和2年だったのか(え) □『呪術廻戦』 MAPPAのインスタントなアニメ化ものと思いきや、コアディレクター平松…

放置感想 5台目 夏頃までの2020年TVアニメ雑感

■『彼女、お借りします』 和也とレンタル彼女たちの関係の手触りが、監督の古賀一臣が長年演出で関わっていた『ポケットモンスター』(アローラ以前)の、前のめりな「キミに決めた」なのが、和也の「障り」ある生々しさをコテコテに補強していて、今期では…